ピラミッド型の巨大な遺跡が大人気の「コーケー遺跡」。
多数の遺跡からなる広い「遺跡群」です。
2023年には晴れてカンボジアでの第四の世界遺産にも登録されました。
短期間ではありますが、かつては王都でもあった「コーケー」。
ぜひシェムリアップより足をのばして観光へ訪れてみてくださいね。
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目次
①コーケー遺跡への行き方
コーケー遺跡はシェムリアップより北東へ約100㎞ほどのところに位置してます。
通常は旅行代理店などにツアーを申し込んで行くことになります。
車で片道2時間半くらいです。
※距離的にトゥクトゥクは基本不可です。
↓現地オプショナルツアーはこちらからでも申し込めます。
遠方の遺跡になるため同じ方面にある遠方遺跡「ベンメリア」や「プレアヴィヒア」と組み合わせていくツアーが多いです。
基本的にコーケー遺跡へ行く場合は丸1日必要になります。
ツアーは使わずに自力で行きたい方は、(旅慣れた方やカンボジア慣れした方以外はおススメできませんが)以下の記事もご参考ください。
コーケー遺跡の近くに「スラヨン」という村があります。「スラヨン」行きのバスチケットなどは売ってないので途中下車することになります。
②コーケー遺跡の入場料
コーケー遺跡へ向かう道の途中でチケットを購入することができます。
「アンコールパス」では入場不可で、コーケー専用のチケット購入が必要です。
↑コーケー遺跡付近のチケット販売所
チケット代は一人あたり15ドルです。
アンコールパス同様、各クレジットカードの支払いにも対応しています。
※12歳未満、及びカンボジア人は入場無料。
※2020年7月より10ドル→15ドルへ値上がりしています。
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③コーケー遺跡の観光所要時間
ツアーなどで観光に訪れる場合は1時間~1.5時間くらいが目安です。
ただし細かなマイナーな箇所も回ろうとすると半日~1日、いや数日かけても回り切れないほどの広い遺跡群です。
コーケー遺跡のオープン時間は7:30-17:30となっています。
④コーケー遺跡の概要
1、歴史
コーケー遺跡は10世紀に短い間ですがアンコール王朝の都となっていた場所です。
928年、王位に就いたジャヤヴァルマン4世がアンコール地域からコーケーへと遷都しました。
その後は息子であるハルシャヴァルマン2世が王位を継ぎますが、944年には王位を奪われ再びコーケーからアンコールへと王都が遷都しています。
そのため実質コーケーに王都があったのは10数年間のみとなります。
アンコールへと遷都した後は、コーケーはどんどん衰退していき森の中へ忘れ去られていきます。
2、複数の遺跡からなる遺跡群
「コーケー遺跡」はひとつの遺跡を指すわけではなく多数の遺跡からなる「遺跡群」です。その数は30~60ほどにもなると見られています。
中央付近に貯水池(ラハール)があり、その周りを取り囲むかのように遺跡が点在しています。
ラハールの西側は現在一方通行になっており、観光する場合は反時計回りに進んでいくようになっています。
よく写真などでピラミッド型の遺跡が紹介されていますが、あれもコーケー遺跡群の中にあるひとつの遺跡にすぎません。
3、カンボジア第4の世界遺産
コーケー遺跡は2023年9月に世界遺産に登録されました。
カンボジアで第4番目の世界遺産となります。
ちなみにカンボジアのその他の世界遺産はこちらです。
- 1番目→「アンコール遺跡群」
- 2番目→「プレアヴィヒア寺院」
- 3番目→「サンボープレイクック」
4、地雷が残っている箇所もある
コーケー遺跡の周辺にはまだ地雷が埋まっている地域もあります。
むやみに探検・冒険心にかられて、道から外れないようにしましょう。
道の途中で見かけられる地雷危険の看板。
5、コーケー遺跡の簡略マップ
コーケー遺跡群の主要どころを分かりやすく超簡略化したマップです。
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⑤「プラサット・トム」壮大なピラミッド型寺院
1、プラサット・トム
巨大なピラミッド型寺院のあるのが「プラサット・トム」です。
コーケー遺跡群の観光のメインとなる場所ですね。
遺跡前には左右にレストランやお土産屋が並んでおり、ここで一度チケットチェックがありました。
最初に足を踏み入れる東塔門は崩れており左右から迂回して内部へ入っていきます。
大きなゴツゴツした柱が乱雑にたっていますが、これもコーケー遺跡の特徴といえるかもしれません。左右の壁には連子状の窓も確認できます。
中へ入ると環濠を渡る手前の部分に、大きなレンガ造りの「プラサット・クロホーム」があります。
高さのある祠堂で、中にはかつて高さ5メートルにもなるシヴァ神の像があったと見られています。
※ラハールの南側にも「プラサット・クロホーム」がありますが、「プラサット・クロホーム」は「赤い寺院」という意味で固有名詞というよりも普遍的な名前であるようです。
この「プラサット・トム」もアンコールワットなど主要遺跡に多いように環濠で囲まれています。
環濠を渡る部分。
片方の大きな柱が斜めに倒れており絵になるポイントですね。
大きなナーガ像などはもう確認できませんでしたが、端っこに小さなナーガ像が転がってました。
環濠先の東塔門には「ドヴァーラパーラ」の彫刻が残っています。
中央祠堂にあたる箇所は崩れており屋根がつくられています。
その中央付近には低く小さなレンガ造りの祠堂が多数ならんでいます。
細かなレリーフや彫刻は見かけられますが、あまり大きな見所はないように思われます。
中央部分を抜け裏側ともいえる西側へと足を進めていくと、いよいよ巨大なピラミッド型寺院「プラサット・プラン」が道の先にチラリと見えてきます。
2、プラサット・プラン
やってきましたコーケー遺跡の目玉、巨大ピラミッド型寺院「プラサット・プラン」です。
大迫力です。
ピラミッドは全部で7段あり高さは約35メートルあるそうです。
しばらく眺めたら上部へ登る階段が設置されている裏側へとまわりましょう。
木製の階段を上っていきましょう。わりと疲れます。
この階段なんか最後の頂上付近で少し傾いてるんですよね…
登りきると360度の絶景が広がります。
コーケー遺跡が森林の中に埋もれて眠っていたというのも納得です。
このピラミッド型寺院の頂上には巨大なリンガが安置されていたとも見られています。
よく見ると「ガジャシンハ」が必死で支えてるところが残っていました。
3、プノン・ドムライ・ソー
プラサット・プランの裏側には「プノン・ドムライ・ソー」と呼ばれる「白い象」のお墓があります。
こちらは民話で代々伝えられる伝説の「白い象」で、娘を探しやってきた白象の王がこの地で疲れ果て亡くなったとされています。
立派な大きな像の隣には小さくて可愛らしい白い象の像もあります。
4、レストラン・食事など
コーケー遺跡群の中で、遺跡前でドリンクを売っていたり食事ができるのはこの「プラサット・トム」だけです。
必要な場合は水を調達したり、このあたりで食事しておきましょう。
プラサット・トム前で食べたカンボジア料理の「ロックラック」。
トムヤンの小スープつけてくれました。
左手端にあったレストランで日本の岡山で3年働いていたという、日本が少し話せるお姉さんがいました。
⑥「プラサット・プラム」樹木が絡みつく五つの祠堂
コーケー遺跡で2番目に人気がある場所というとこの「プラサット・プラム」でしょうか。
「プラム」はクメール語で「5」という意味で、その言葉通りに「プラサット・プラム」には5つの祠堂が建っています。
ラハール周遊の道の手前にありアクセスもしやすいので大型バスの観光グループも来ていました。
「タ・プローム」や「ベンメリア」でも見られる長い年月によって樹木が絡みついた遺跡ですね。
ピラミッド型寺院「プラサット・プラン」と名前が似ていますがこちらは「プラム」です。
※とはいえ日本語で「ム」と発音してしまうと通じないかもしれませんが…
こちらの祠堂はもうなかなかの絡みつきようです。
取り憑かれて瀕死寸前みたいな、マンガの世界にでも出てきそうな風貌です。
⑦「プラサット・ニエン・クマウ」黒い貴婦人
こちらもラハールの手前にある遺跡「プラサット・ニエン・クマウ」。
日本語で「黒い貴婦人」なんて訳されている遺跡です。
主に祠堂がひとつ凛と建っているだけなのですが、名前のとおり周壁が黒く変色しており妖艶なる存在感を放っています。
変色の原因は「火災によるもの」と「マンガン酸化物によるもの」と2説あるようです。
何気に屋根部分には凝った装飾がされているように見え、リンテルの部分にはレリーフを確認することができます。
祠堂の中にはヨニが設置されていました。
手前には台座のように小さな階段が残されていて、黒い祠堂まで目には見えない通路が渡されているような神秘ささえ感じます。
凛と強く建つようで、どこか独り寂しげでもある不思議な魅力を持つ遺跡です。
⑧「プラサット・ドムライ」お札にも描かれる象の像
カンボジアの5万リエル札にも描かれている象の像がある遺跡「プラサット・ドムライ」。
主にこのキレイに残る象の像がある祠堂がひとつあるだけです。
首まわりの装飾がなんとも気品の良さを醸し出しています。
⑨「プラサット・リンガ」巨大なリンガ
コーケー遺跡には巨大なリンガが祀られた祠堂のある場所が複数個所あります。
以前は「プラサット・リンガ」という案内看板で立っていたのですが、現在はひとつひとつに違う名前の看板が立っていました。
1、プラサット・バラン・チューン
巨大リンガの台座には巨大なヨニが設置されています。
ずっしりと深い重みを感じます。
※「リンガ」とは男性器のシンボルであり、シヴァ神のエネルギーの象徴でもあります。「ヨニ」は女性器をあらわしています。
2、プラサット・トノン
3、プラサット・アンドンコック
かなり崩れておりますが、けっこうな規模の建物の中にリンガが祀られています。
⑩その他ラハール周囲の遺跡
ラハール周囲にあるその他の遺跡を南側からご紹介。
1、プラサット・クロホーム
2、プラサット・クナー・トロペヤン・アン・クナー
3、プラサット・クトゥム
「プラサット・ドムライ」と同じ区域にあります。
4、プラサット・チュラップ
きれいに前面の半分だけ崩れた祠堂が3つ並びます。
黒い仮面をかぶった影役者が潜んでいるかのようです。
5、プラサット・バンテアイ・ピー・チアン
正面には大きな柱が数本まばらに残っています。
奥には大きく黒い祠堂。その前には赤レンガの低い経蔵が立っています。
6、プラサット・ベン
7、プラサット・クラチャップ
修復中で入れませんでした。
8、プラサット・スララウ
9、プラサット・スロット
プラサット・トムの道をはさんで反対側にある遺跡。
ふたつの崩れた建物があります。
もともとはプラサット・トムの一部だったとも考えられているようです。
以上、いかがだったでしょうか。
長くなりましたが、「コーケー遺跡」の魅力が少しでも伝わったでしょうか。
プノンペンにある国立博物館にある目を引く「大きなガルーダ像」はこのコーケー遺跡で発見されたものだそうですよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
↓その他よくコーケー遺跡といっしょに観光で組み合わされる遠方遺跡。