本日は数あるアンコール遺跡の中でも、最高峰にレリーフが美しいと称される遺跡「バンテアイスレイ」(Banteay Srei)です。
全体的に赤色の砂岩が多用されており、灰色の多い遺跡とはひとあじ違う印象を与えます。小規模でありながらギュッと凝縮されたように精巧な彫刻が集まる人気遺跡。
ぜひクメール芸術珠玉のレリーフ群を鑑賞してみてください。
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目次
①「バンテアイスレイ遺跡」への行き方
「バンテアイスレイ遺跡」はシェムリアップ市内より約35km離れたところに位置しています。
片道で約1時間くらいです。
遺跡までの道は簡単でほぼ北へと一本道をまっすぐです。
道は舗装されていますが、ときどき舗装が崩れて穴があいているので注意が必要です。
②「バンテアイスレイ遺跡」観光の所要時間
バンテアイスレイ遺跡の観光の所要時間はだいたい1時間くらいです。
往復の移動時間を含めると3時間くらいのコースとなります。
1、その他の遺跡と組み合わせ観光
ただしバンテアイスレイ遺跡へ向かう道の途中や、さらにその先にも見所があるので、他の場所と組み合わせた半日コースや1日コースで観光することが多いです。
行く道の途中は「アンコールワット」を含む「アンコール小回りコース」や「大回りコース」から「アキラ地雷博物館」、「バタフライセンター」「一ノ瀬泰造の墓」などがあります。
また途中には「ヤシ砂糖(パームシュガー)」で有名なプラダック村もあります。最近ではここで売られている「ノムタナオット」(ヤシ砂糖をつかった蒸しパンのようなもの)が人気があります。
バンテアイスレイの先には「クバールスピアン」があります。また方向は少し変わりますが、人気の遠方遺跡である「ベンメリア」もいっしょにぐるっと回るツアーも多く催行されています。
2、正面に陽が当たる午前中が人気
遺跡の観光時間はレリーフ群の多い正面に陽が当たる午前中の方が人気が高いです。
ただし日陰も少なく暑いので、体調管理と水分補給をわすれずに。帽子など持っていくとよいですね。
↓「バンテアイスレイ」を含む現地オプショナルツアーを事前に申し込むことができます。是非チェックしてみてね!!
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③「バンテアイスレイ遺跡」の入場料
バンテアイスレイ遺跡の入場には「アンコール・パス」が必要です。
コロナ禍の前は60stにあるアンコール・チケット売り場で、事前にパスの購入が必須でしたが、現在はバンテアイスレイの入り口でもアンコールパスが購入可能になっています。
④「バンテアイスレイ遺跡」の概要
1、クメール芸術・最高峰のレリーフ
バンテアイスレイ遺跡は彫刻・レリーフの美しさが有名です。
その美しさはクメール芸術の最高峰でまるで宝石のようだと称賛されています。
遺跡自体の規模もあまり大きくありませんが、凝縮されたように密度が高く精巧で美しいレリーフが集まっています。
特にペディメント(破風)やリンテル(まぐさ)に沢山の神話のストーリーが描かれています。
2、美しい赤色の遺跡
遺跡全体的に赤色の砂岩が多く利用されており、訪れるものに赤土のイメージを与えます。この赤色の砂岩は精巧なるレリーフを彫るのにも適している材質だったようです。
3、女性の砦
「バンテアイスレイ」はクメール語で「女性の砦」の意味があります。
ただし昔は「Tribhuvanamaheshvara」(シヴァ神を意味する)という名前だったそうで、「バンテアイスレイ」は後につけられた呼称だそうです。
「女性の砦」と呼ばれるようになったのは、そのレリーフ群の美しさに小柄な全体像、そして赤色であることなどから、そう呼ばれるようになったのではないかと推測されています。
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⑤「バンテアイスレイ遺跡」の歴史
「バンテアイスレイ遺跡」は967年に建設されたヒンドゥー教寺院であり、シヴァ神に捧げられています。
碑文も多数発見されており、幾度か再建や拡張も行われており、14世紀ころまで使用されていたと見られています。
その後1914年に再発見され、1923年にはデバター像の盗難被害にもあっています。
盗難にもあうほどの魅力あふれるそのデバター像は「東洋のモナリザ」とも呼ばれています。
⑥「バンテアイスレイ遺跡」の観光と見所
1、駐車場とチケット売り場
バンテアイスレイの正面には大きな駐車場があります。ハイシーズンにはここに大型バスなどがたくさん並びます。
入り口のすぐ隣には小さなアンコールパスの販売ブースがあります。
このチケット販売所のある西側から入って、帰りはお土産屋が並ぶエリアの先になる駐車場の東の方から出てくる流れになっています。
2、エントランス
エントランス部分には遺跡に関する資料などがパネルで展示されています。
右側の方にはたくさんのお土産屋さんやレストランが並んでおり、キレイめの大きなトイレもあります。
3、パスチェックと遺跡入り口へ
エントランス部分を抜けて歩いていくとアンコールパスのチェックがあります。
遺跡は東側を向いており、まず一番最初の東塔門が見えてきます。平面型の遺跡で高さはないので、壮大なインパクトはありません。
さっそく一つ目からペディメントにはきめ細やかなレリーフが確認できます。
4、リンガの参道と南北のレリーフ
東門を抜けると中央部へ向かう参道にはリンガ(男性器を表しておりシヴァ神の象徴でもある)が立ち並んでいます。
この参道からも整然としたキリっとした雰囲気が感じられます。
参道の両脇にも建造物があり、大きく見ごたえのあるレリーフが残っています。
ちなみに下記のレリーフはどのように見えますか?
このようにも見えませんか?
・右端では正義の味方が悪魔にやられそうになっている
実はこれまったく逆なんですね。
左端では「マカラ」という生物が食べられているんじゃなくて、口から出てきているところなんです。
右端は敵に見えるのが「ヴィシュヌ神」の変化した姿で、やられそうになっているのが「阿修羅」です。
↓こちらは参道の脇、地面に落ちている大きなペディメントのレリーフ。
これは「ラーマーヤナ」のワンシーンでシータ姫が誘拐される様子が描かれています。
参道の南側には撮影ポイントのようなところがあります。
まさに今白い服の男性がカメラを構えてるところですね。
ちょうどいい所に切り株があり、その先の外壁も中が見やすいように崩れています。
意図的に作られたシャッターポイントなのかどうか…。
5、外濠と周壁のペディメント
第一周壁の東門は壊れており、中央にはリンガの台座となるヨニが設置されています。
参道のわきに横たわっていたペディメントはこの東門のものではないかと見られています。
第一周壁の中は外濠に囲まれています。外濠のまわりを一周することもできます。
離れた視点でみると、いかに小規模で凝縮された遺跡であるかを再確認できますね。
外濠にはかすかに逆さバンテアイスレイも映っています。
外濠を渡った第2周壁の東門にもきめ細やかなとても美しいレリーフが残っています。
左右の端がぐるっと大きく渦巻いているのも特徴的です。
こちらは内側にあるペディメントの「象に聖水を浴びせてもらっているラクシュミー様」
6、凝縮された中央エリア
中央部には3つの祠堂に2つの経蔵があります。現在はロープで囲われており、それ以上近づくことはできなくなっています。
3つの祠堂は約1メートルほどの台座の上に建てられており、中央の祠堂には前室が設けられています。
中央の祠堂には男性の門衛神「ドヴァラパーラ」、左右の祠堂に「東洋のモナリザ」と言われる「デバター」の像が彫られています。
中央正面にある上半身のなくなった「ナンディン牛」の像。
ロープの張られているところにも周壁があったかと思うと、内部がいかに狭い空間だったかが想像できます。
まさにレリーフの宝庫ですね。
経蔵は正面と逆の西側を入り口としており、東面は偽扉がほどこされています。
ペディメントも豪華に三段積みのようになっており、これでもかというほどに角や端の方にまで細かく洗練されたレリーフが彫られています。
こちらは南の経蔵のペディメント。
下部中央には手と頭が何十個もある化け物(魔王ラーヴァナ)がいます。そのまわりにいる動物たちの格好や姿もとても興味深いですね。
こちらは後方の第二周壁にあるペディメント。
猿の王ヴァーリンとスグリーヴァの決闘、その後ろからラーマ王子が弓を構え矢を放とうとしているところです。
7、湖と展示場
帰りは遺跡の裏側(西側)から出て、周りの森の間を歩いてエントランス部分に戻るという道順になっています。
北側にある湖ではボートなどに乗れるとの情報もありますが、(2024年8月時点では)まったくボートに乗って観光できるような雰囲気ではありませんでした。
また遺跡に関する資料の展示場もあり、いろいろと勉強することができます。
以上、いかがだったでしょうか。
レリーフに描かれる神話などの知識を深めていくと、より一層に楽しめると思います!
クメール芸術の至宝「バンテアイスレイ遺跡」でした。
↓遺跡と自然の融合・人気の遠方遺跡「ベンメリア」
↓「アンコールワット」を含む王道のアンコール小回りコース
最後までお読みいただきありがとうございます。