シェムリアップの主要な遺跡群「アンコール小回りコース」や有名どころを観光しおわった人が、次に検討しだすのが「ロリュオス遺跡群(Roluos)」です。
市内中心部より「遠すぎず近すぎず、遺跡の規模も大きすぎず小さすぎず、半日で回れる」ほどよい存在感のロリュオス遺跡群です。
とはいえ「アンコールワット」よりも古く、かつて王都がおかれていた歴史ある場所です。
ロリュオスは遺跡群なので沢山の遺跡がふくまれますが、一般的に観光でまわるのは「バコン」「プリア・コー」「ロレイ」の3つの遺跡です。
この記事ではそんな「ロリュオス遺跡群」についてご紹介いたします。
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目次
①「ロリュオス遺跡群」の行き方・場所
「ロリュオス遺跡群」は「アンコールワット」などがある市内北側とは異なり、市内から東の方向へ約13kmほど離れたところに位置しています。
行く道は非常に簡単で国道6号線に沿ってひたすら東へ真っすぐです。
賑やかなエリアを抜けた後は、国道も少しせまくなり木に左右を囲まれたのどかな風景がつづきます。
遺跡群の少し手前にはやきとり屋が立ち並ぶ地元では有名なエリアもあります。このあたりでお昼ごはんを食べるのもいいかもしれませんね。
遺跡は国道6号線に対して「プリア・コー」と「バコン」は南側、「ロレイ」は北側にあります。
各遺跡間の距離も約1km程度と近く回りやすいです。
②トゥクトゥク料金の相場
トゥクトゥクのチャーター料金の相場は「ロリュオス遺跡」まで往復で15ドルくらいです。
時間は片道30~40分くらい。
ほかの観光地と組み合わせて行く場合も多く、「ベンメリア」や「コンポン・プルック(トンレサップ湖)」 などといっしょに行きやすいです。
「ロリュオス」ってカタカナ発音だとけっこう通じにくいので、そのときは「バコン」と言った方が分かりやすいかもしれません。
↓事前にツアーなど予約しておくと安心感もありますね。
シェムリアップ空港(SAI)へ行くときも通り道となるので、途中でよることが可能です。
※ただし遺跡の入場には「アンコールパス」が必要なので、到着時に観光するのは少し難しいです。
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③「ロリュオス遺跡群」の入場料
「ロリュオス遺跡群」の入場には「アンコール・パス」が必要になります。
(アンコールワットとかと同じ共通チケットです。)
ロリュオス遺跡群の周辺では「アンコール・パス」は販売していないので、観光へ行く際は事前に有効期限内である「アンコールパス」を所持しているか確認しましょう。
④「ロリュオス遺跡群」の観光所要時間
観光の所要時間は「バコン」「プリアコー」「ロレイ」の三つの遺跡を合わせて1時間半から2時間くらいで回ることができます。
なのでだいたい半日コースの観光場所となります。
空港送迎の間にサクッと回るなら1時間くらいでも可能です。逆に遺跡群のマイナーな場所も回るならじっくり1日と、各自の予定に合わせて調整可能です。
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⑤「ロリュオス遺跡群」の歴史
「ロリュオス遺跡群」はアンコール地域に王都が移される以前に、約100年ほど王都が置かれていた場所です。
アンコール王朝の創建者であるジャヤバルマン2世によって築かれ、かつて存在したこの古代都市は「ハリハララヤ(Hariharalaya)」と呼ばれていました。
その後、ヤショヴァルマン1世によって現在のアンコールエリアへと遷都されます。
西暦800年~900年前後の出来事であり、かれこれ今から1000年以上も昔の話です。
それでは各遺跡をひとつずつ見ていきましょう。
⑥「プリア・コー」
「プリア・コー」遺跡はロリュオス遺跡群の中でも最初に造られた寺院で最も古い寺院です。インドラヴァルマン1世による建設で879年のことです。
国道6号線より南下する道路のわきにあり、すぐ手前にあるのが東塔門です。
現在は水もなくなっていますが、かつてはまわりを外濠に囲まれておりこの東塔門の両サイドにも外壁が続いていたと思われます。
「プリア・コー」には全部で6つの塔が立っています。
前方が3つがインドラヴァルマン1世の祖先にささげられており、後方の3つの塔はその祖先の妻へとささげられています。
前方中央の塔がジャヤヴァルマン2世にささげられており一番高くなっており、後方の3つの塔は前方よりも少し低くなっています。
6つの塔は等間隔に並んでいるかと思いきや、よく見ると少しずれており正面から見ると後方右手の塔の姿を間に見ることができます。理由は現在まだ定かではなく、不明のようです。
前方の3つの塔の前にはシヴァ神の乗り物でもある聖なる牛「ナンディン」が塔に向かい合うように座っています。
「プリア・コー」はクメール語で「聖なる牛」の意味があり、このナンディン像が寺院の名前の由来であるのは間違いないでしょう。
6つの祠堂は全て東側を入り口としており、残る3面には偽扉がほどこされています。
各側面にはレリーフや彫刻も良い状態でたくさん残っています。
前面3つの塔には門衛神「ドヴァラパーラ」がサイドを守っていますが、後方の3つの塔は女性の「デバター」が彫られています。後方の3つは女性(各祖先の妻)にささげられているからでしょうか。
2024年8月時点では前方の左右の祠堂は修復作業中でした。
雨季になると草も生い茂り緑がおおく、遺跡の雰囲気も変わりますね。
不気味な変色と溶けたかのように消失している左右のデバターによってホラー映画のような雰囲気を放ってます。
遺跡正面の道をわたった反対側には、各遺跡のミニチュア模型があります。
(こういう模型を作るお店のサンプルか何か分かりませんが、)すごい精巧に作られていてびっくりします。
⑦「バコン」
ロリュオス遺跡群の中でメインとなるのがこの「バコン」遺跡です。
東西に約900メートル、南北に約700メートルの広さを持ち、2つの外濠、3重の周壁によって囲まれています。(現在、外側の堀は水がなくなっています。)
クメール遺跡の中では最初に造られたピラミッド型の寺院だと見られています。建設はインドラヴァルマン1世による881年。
国道6号線から南下すると外濠に囲まれた北側にぶち当たります。
遺跡への正面入り口のある東側までまわります。
東側から入場すると外濠を渡る参道のわきに7つの頭を持つナーガ像が出迎えてくれます。こちらもクメール遺跡の中で初めて欄干に施したナーガだと言われています。
中央のピラミッド型寺院は5層になっています。
大きく迫力のあるシルエットですね。
まっすぐ進むと、ど真ん中に「なんだこれ?」みたいな彫刻があります。
これは元々「プリア・コー」にもあった聖なる牛「ナンディン」の像があったようです。(実際に西側にはまだ「ナンディン」の像が残っています。)
ピラミッドには東西南北の各四方に上るための階段があります。
下3層の各四方の角にはそれぞれ「象の像」があります。それに対し階段の各層の左右には「シンハの像」が立っています。
ピラミッド状の頂上にある中央祠堂。
遠くから全体を見るとこの中央祠堂だけ取ってつけたような違和感を感じますが、この祠堂はまた別の時代に作られたようです。建築の様式がその他の部分と違うそうです。
側面には4体の並ぶデバター像。
頂上から見下ろすとまっすぐと道が伸びているのが分かります。
一見ピラミッド部分の壁には装飾があまりないように見えますが、よく見るとレリーフが彫られていた跡をたくさん確認することができます。
第4層目の南側には一部だけくっきりと残る阿修羅のレリーフがあります。おそらく一周ぐるりとレリーフがあったと推測されます。
また中央のピラミッド型寺院に目が行きがちですが、「バコン」にはたくさんの建物が周囲に建っているのが分かります。
こちらは周囲に全部で8塔建つレンガ造りの祠堂。まぐさのレリーフやサイドのデバターなどもかなりしっかりと作られています。
⑧「ロレイ」
「ロレイ」遺跡はロリュオス遺跡群の中では最後に建てられた寺院のひとつです。ヤショヴァルマン1世によって893年に建設されました。
ロリュオス遺跡群のその他多数の遺跡とことなり国道6号線の北側にあります。
「ロレイ」は(現在は水はなくなり貯水池はありませんが)「インドラタタカ」と呼ばれた大きな貯水池の中に建っていました。
そのため台座のようになっており駐車場よりも少し高い位置にあります。
「ロレイ」には主に4つの祠堂が建っています。
4つの塔は建設者であるヤショヴァルマン1世の両親と祖父母にささげられています。
まぐさにはカーラのレリーフをはっきりと確認することができます。
各扉のサイドには門衛神「ドヴァラパーラ」がおり、しっかりと精巧に造られた枠に収められています。
「プリアコー」と同じく後方の2塔には「ドヴァラパーラ」ではなく女性の「デバター」になっています。
2024年8月の時点では北西側の祠堂が修復作業中でした。
南側の二つの塔は損傷がはげしく半分くらいは崩壊しています。
中には「ヨニ」が収められ、扉部の左右にはびっしりと文字が刻み込まれています。
4つの祠堂の中央には「リンガ」あり、四方へと伸びる水路の跡が残っています。
これはリンガをつたって聖水が四方へと流れ、貯水池へと流れ込むという仕組みになっています。
また発掘作業も常時進められているようです。
数年前に来たときはなかったと思うのですが、正面エリアの一部が掘り起こされており、テラスか何かの跡があらわになっていました。
隣には現代のお寺も併設されています。
⑨ロリュオス遺跡群のその他遺跡
ロリュオス遺跡群のツアーなどではほとんど観光にまわらないマイナーな小さなその他の遺跡もいくつかご紹介いたします。
「バコン」「プリアコー」「ロレイ」以外のマイナー遺跡へアクセスする道はだいたい未舗装で、森の間の小道を通ったりします。
そのため基本的に車やトゥクトゥクは不可となり、バイクもしくは自転車での訪問となります。
また雨季は道がドロドロになったり浸水したりする場合もあるので、乾季に訪れた方がよいです。
1、バコン周囲の祠堂
「バコン遺跡」をかこむ周囲の道路沿いにも、祠堂が点在しています。
これはバコンの東側にある半分壊れた祠堂。けっこう大きいです。
駐車場やお土産屋などが並ぶエリアの前にあるので、ここは発見しやすいです。
ここ以外にも周辺にある民家の庭や、家と家の間などに小さな祠堂がたくさん残っています。
2、「プレイ・モンティ」
「プレイ・モンティ」はバコンよりも南側にあります。
マイナー遺跡の中では有名な方(?)なのでちゃんと案内看板があります。
森の中の小道を進んでいきます。
すると木々の合間に3つの壊れた祠堂が見えてきます。
3つとも激しく損傷しています。
森の中から到達する場所の反対側に四角い何かがあります。
ところどころに小さなレリーフなどを確認することができますが、まだ謎も多く見所は不明ともいえます。
3、「トトゥン・タガイ」
「プレイ・モンティ」よりも、さらに南へ下がったところにある「トトゥン・タガイ」。
鳥居のようにも見える扉もしくは門の枠のようなものだけがたくさん残って立っています。また周囲に生える木がこの遺跡は細い竹がのびているんです。
なぜこの扉の枠のようなものだけが残って立っているのかは謎であります。
他の場所とは少し違った趣があるちょっと不思議な場所ですね。カンボジアらしからぬ雰囲気を感じます。
個人的にこの雰囲気はけっこう好きで、ここに座って読書でもしていたい気分になります。(実際、虫とかも多いのでやりませんが…)
とはいえ不思議な扉と竹以外は特に何もありません。
4、「オ・カエク」
バコン遺跡の中心部からまっすぐ西へ伸びる道を1.5kmほど進んだところにあります。
道のわきにポツンとひとつの祠堂が残っており、すぐ真横を近所の学生が遺跡には目もくれずピューと通り過ぎていきます。
とはいえ偽扉には意外とレリーフが残っています。
このひとつの祠堂しかありませんが、比較的アクセスしやすい場所にあります。
以上、いかがだったでしょうか。
ハマれば奥が深そうな「ロリュオス遺跡群」。
遺跡好きな方はぜひ訪れたい場所ですね。
「アンコールパスの日数がまだ残ってるけど、どこ行こう?」なんて方にもおすすめですよ!
最後までお読みいただきありがとうございます。
↓人気の高い遠方遺跡「ベンメリア」
↓こちらも一時だけですが王都がおかれた「コーケー遺跡群」